バリ島とヌサペニダ島のウミウシ:ダイバーのための種類と生態ガイド

Blaise Jaeger著 · PADIマスタースクーバダイバー · 2017年にヌサペニダ島初のPADIダイビングセンターを開業 · 2026年9月28日更新

ウミウシは海の世界のまさに驚異で、世界中のダイバーを特別に惹きつける存在です。英語では「ヌーディブランク(nudibranch)」と呼ばれ、ラテン語の「nudus(裸の)」とギリシャ語の「brankhia(エラ)」に由来します。バリ島やヌサペニダ島で潜れば、たくさんのウミウシに出会えるはずです。

この魅力的な小さな生き物は、殻をもたないという特徴をもつ腹足類の軟体動物です。世界中の海で、信じられないほど鮮やかな色を見せてくれます。現在3,000種以上が確認されていて、その多くがインドネシアにいます。ヌサペニダ島のサンゴが豊かなダイビングポイントならどこでも見つかり、インストラクターの鋭い目が、とびきり魅力的な種類を見つける手助けをしてくれます。

ヌサペニダ島を訪れるダイバーの多くはマンタやマンボウを目当てにやってきますが、じつはこの島はマクロ生物も驚くほど充実しています。スピードを落としてリーフをじっくり見れば、ウミウシは見つけられる生き物の中でもとびきりカラフルで魅力的な存在です。

バリ島ヌサペニダ島の、白い外套膜に黒い輪の模様があるヨルンナ・フネブリス(Jorunna funebris)
ヨルンナ属のウミウシ。

ウミウシを知る

ウミウシ(裸鰓類)には、おもに4つのグループがあります。

  1. ドーリス類:体は比較的平たく、肛門のまわりに引っこめられる羽のようなエラがあり、体の前方に2本の触角(嗅角)があります。
  2. ミノウミウシ類:体はより細長く、背中に突起(背側突起)が並び、2本の触角と、よく発達した2本の口触手をもっています。
  3. スギノハウミウシ類:細長い体で、エラの役目をする付属器で飾られた外套膜のようなものをもっています。
  4. タテジマウミウシ類:外套膜の表面にしわがあり、その下にエラ、そして引っこめられる2本の触角をもっています。

種類ごとに独自の体の特徴があり、とくに鮮やかな形と色で見分けられます。1匹1匹がユニークで、見ていて飽きません。

バリ島ヌサペニダ島の「チーズケーキ」ことドリプリスマティカ・アトロマルギナータ(Doriprismatica atromarginata)
「チーズケーキ」と呼ばれるウミウシ(写真:@rbmx_)。

ウミウシの触角の役割

触角(嗅角)は体の前方にあるアンテナです。ウミウシの目は昼と夜を見分けられる程度のごく単純なものなので、この触角がとても大切です。よく発達したこの感覚器官のおかげで、えさや危険を察知し、交尾の相手を見つけることさえできます。

バリ島ヌサペニダ島の、カラフルな背側突起をもつフラベリナ属のウミウシ
フラベリナ属のウミウシ(写真:@rbmx_)。

ユニークな繁殖のしくみ

ウミウシの寿命は比較的短く、数週間から1年ほどです。種を確実に残すため、ウミウシはオスとメス両方の生殖器をもつ雌雄同体です。交尾のときは2匹が左右対称に体を合わせ、たがいにオスの配偶子を交換して、メスの配偶子を受精させます。ウミウシの卵は、らせん状に巻いた色鮮やかなリボンのような形をしていて、潜っているとよく目にすることができます。

Goniobranchus tinctoriusという種は、交尾のあとにペニスを切り離し、24時間以内に再生させるという独特の能力までもっています。

ウミウシにとって最高のすみかであり続けるよう、海を守ることがとても大切です。Project AWAREのコースでは、海を大切にし、持続可能な形で守っていくために、あなたが大切な役割を果たす方法を学べます。

バリ島ヌサペニダ島のサンゴ礁の上をはうカラフルなウミウシ
ヌサペニダ島のリーフにいるウミウシ。

効率のいい食べ方

ウミウシは、はいながら食事をします。体の下にある強力な器官で、進みながらえさを削り取っていくのです。種類ごとに好みのえさがあり、一般的には海綿、藻類、コケムシ、さまざまなサンゴやイソギンチャク、ときには魚の卵も食べます。種類によっては、食べるものによって体の色が変わることもあります。

生き残るのに役立つよう、ウミウシは毒をもつ生き物、とくにヒドロ虫を食べることで毒をため込み、あとで身を守るために使うことができます。

バリ島ヌサペニダ島のリーフでえさを食べるネンブロータ・チェンバレニ(Nembrotha chamberlaini)
Nembrotha chamberlaini(写真:@rbmx_)。

巧みな身の守り方

まわりの環境に溶けこむ擬態を選び、夜にしか動かない種類もいます。Dune Penidaのナイトダイビングでは、驚くほどたくさんの種類を観察できます。捕食者に襲われると、ウミウシは毒を出したり、身を守る姿勢をとったり、体を縮めて数メートル泳いで逃げたりします。ほとんどの種類は底生で、海底を移動し、サンゴにくっついて暮らしています。Glaucus atlanticus(アオミノウミウシ)のような珍しい種類は浮遊性で、外洋や水面を漂って暮らしています。

バリ島ヌサペニダ島の、マゼンタの網目模様と白い縁どりの外套膜をもつゴニオブランクス・レティクラタス(Goniobranchus reticulatus)
みごとに擬態したウミウシ。

魅力的なウミウシの種類

よく見られるのはChromodoris、Nembrotha、Flabellinaの仲間、そしてGoniobranchus、Halgerda、Thecacera pacificaなどです。

初心者でもベテランでも、ウミウシはいつまでもダイバーを魅了し続けます。ヌサペニダ島のすべてのダイビングポイントに、どの水深にもいるので、体験ダイビングでも、オープンウォーターの講習でも、ファンダイビングでも出会えるチャンスがあります。インストラクターも、この魅力的な生き物を紹介するのをとくに楽しみにしています。

バリ島ヌサペニダ島のロボアストラ・テンタクラータ(Roboastra tentaculata)
Roboastra tentaculata(写真:@rbmx_)。

アガトの体験談

ほとんどのダイバーがマンタやマンボウ、そのほか目の前を通り過ぎる迫力ある海の生き物に夢中になる一方で、ひと握りの熱心なファンはリーフに目をこらし、小さなウミウシを探し続けています。私は後者のひとりで、いつも有名なウミウシを探しています。

陸のナメクジよりずっと魅力的でカラフルなこの小さな生き物は、バリ島の海のどこにでもいます。とくにバリ島本島より自然が残っているヌサペニダ島ではなおさらです。潜っていて1匹も「ヌーディ」を見つけられなかったとしたら、たぶん上ばかり見ていたか、マスクがくもっていたのでしょう。ペニダの暖かく澄んだ海には、ウミウシがあふれています。もちろん、黄色や黒、青のドーリス類のように、ひと目でわかるものもいます。リーフの上で色のコントラストが目立つので、見つけやすいのです。

バリ島ヌサペニダ島のフィディアナ・インディカ(Phidiana indica)
Phidiana indica(写真:@rbmx_)。

カラフルな生き物たち

でも、形も色もさまざまで、似た色の環境に隠れている種類もたくさんいます。種類ごとに食べるものがちがうので、注意して見ていればリーフのいろいろな場所で見つかります。まるで宝探しのようで、必ず何匹かは見つかるので、じっくり時間をかけて探してみてください。私自身、ヌサペニダ島周辺で見とれるほど美しいウミウシにいくつも出会ってきました。小さいぶん、ゆっくり進む必要があるのは確かですが、それだけの価値があります。交尾中のペアや、らせん状の卵に出会えることもあり、それもいつもカラフルで多彩です。

バリ島ヌサペニダ島のネンブロータ・クバリアナ(Nembrotha kubaryana)
Nembrotha kubaryana(写真:@rbmx_)。

バリ島ヌサペニダ島の赤と白のウミウシ

もし私と同じようにこの小さな生き物が大好きなら、ヌサペニダ島への旅をおすすめします。きっと期待を裏切りません。そしてインストラクターもウミウシ好きなら、リーフの角という角でウミウシに出会える最高の組み合わせです。

ウミウシをもっと知る

ウミウシの写真をもっと見たい方は、友人のRoyのInstagramアカウントをのぞいてみてください。Royはヌサペニダ島周辺で何十種類ものウミウシを撮影していて、このガイドの写真の何枚かも、Dune Penidaでのダイビング中に彼が撮ったものです。

バリ島ヌサペニダ島のリーフにいる、白い外套膜に細かな赤い網目模様のゴニオブランクス・レティクラタス(Goniobranchus reticulatus)
赤と白のウミウシ(写真:@rbmx_)。
ヌサペニダ島で「ダイバー潜水中」のフロートを持って水面にいるDune PenidaのインストラクターでマクロフォトグラファーのRoy
Dune Penidaのダイビングインストラクター、Roy。

ヌサペニダ島でウミウシを撮影したい?

RoyはDune Penidaのインドネシア人ダイビングインストラクターで、このガイドのウミウシ写真の多くを撮ったマクロフォトグラファーです。小さな生き物が好きなら、日程とレベルを伝えてください。ウミウシに出会えるチャンスがいちばん大きいダイビングを選ぶ手伝いをしてくれます(やり取りは英語になります)。

このガイドについて

このガイドは、Blaise Jaegerが、Dune PenidaのダイビングインストラクターでマクロフォトグラファーのRoyと一緒に作りました。Blaiseは700本以上のログをもつPADIマスタースクーバダイバー。2015年に初めてヌサペニダ島を訪れ、2017年に島初のPADIダイビングセンターを開業して以来、この島の周辺で何百本も潜ってきました。

この記事のウミウシ写真の多くはRoyによるものです。このガイドの目標はシンプルです。マンタやマンボウだけでなく、ヌサペニダ島をインドネシアでも屈指のダイビングスポットにしているすばらしいマクロ生物の魅力も、ダイバーに知ってもらうことです。

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ダイバーの方は、シーズン、水温、潮流、ライセンス、そしてこの独特でダイナミックな海で潜るとき何が待っているかを解説したヌサペニダ島ダイビング完全ガイドをお見逃しなく。マンタポイントをはじめとする数々のすばらしいポイントは、ヌサペニダ島を拠点とするPADI 5スターセンター、Dune Penidaダイビングセンター(英語)で潜ることができます。経験豊富なガイドと、安全と現地の知識へのこだわりで知られるセンターです。この地域の海の生き物については、マンタ、サメ、マンボウ(モラモラ)のページでさらに詳しく紹介しています。どれもヌサペニダ島周辺でよく出会える生き物です。

次にどこで潜るか迷っているなら、ヌサペニダ島のダイビングポイント20選で、各ポイントをレベル、コンディション、海の生き物ごとに詳しく比較しています。自分の経験と冒険心にぴったり合ったダイビングプランを組み立ててください。

バリ島ヌサペニダ島のDune Penidaダイビングセンター

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