The great clock window of the Musée d’Orsay seen from inside, Paris

パリ在住者が選ぶおすすめ美術館:ルーヴルだけじゃない穴場まで

Blaise Jaeger著 · 2026年10月29日更新

私はパリで、芸術家と美術館に囲まれて育ちました。曽祖父母の姉妹にあたるジャンヌ・ビュシェは1925年に画廊を開き、今も私の家族が運営しています。医師だった父には芸術家の友人がたくさんいて、日曜日になると父と一緒に画家のヴィエイラ・ダ・シルヴァとアルパド・セネシュを訪ね、子どもの頃にはザオ・ウーキーにもよく会いました。母は毎週日曜日に私を近代美術の展覧会に連れて行ってくれ、ジャン・ティンゲリーの展覧会と彼の奇妙な動く機械は今でも覚えています。10代の頃は、毎週日曜日にひとりでルーヴル美術館に通っていました。

現在はバリ島とパリを行き来する生活ですが、パリにいるときは今も美術館やギャラリー、アートフェアで多くの時間を過ごしています。これは「パリのベスト美術館20選」のようなリストではありません。見逃せない名コレクション、企画展を見に行く場所、私設財団の美術館、私が愛する小さな美術館、そしてパリの人々が実際に現代アートと出会うギャラリーやアートフェアを集めた、私自身のセレクションです。

グラン・パレで開かれたアートフェアArt Parisで、大きなブロンズの拳の彫刻の横に立つBlaise Jaeger
2019年、グラン・パレのガラス屋根の下で開かれたアートフェアArt Parisにて

私のお気に入りのパリの美術館:早わかり

  • 必見の常設コレクション:ルーヴル美術館、オルセー美術館、ピカソ美術館、そして2030年に再開予定のポンピドゥー・センター。
  • 企画展なら:グラン・パレ、プティ・パレ、パレ・ド・トーキョーとパリ市立近代美術館、ヨーロッパ写真美術館。
  • 私設財団:カルティエ現代美術財団、フォンダシオン ルイ・ヴィトン、ブルス・ドゥ・コメルス、そしてセガン島の新しいアートセンター「Large」。
  • 小さな美術館:カルナヴァレ美術館、ジャックマール・アンドレ美術館、装飾芸術美術館。
  • 現代アート:お気に入りのギャラリーはPerrotin、Polka、Jeanne Bucher Jaeger、Templon。アートフェアはArt Basel Paris、Paris Photo、Art Parisの3つです。
  • いちばんのアドバイス:数日前に予約し、混雑がピークになる昼過ぎの時間帯は避けましょう。

必見のコレクション

初めてパリに来た友人を案内するのは、これらの美術館です。数日しか時間がないなら、2つに絞ってじっくり見てください。

ルーヴル美術館

10代の頃、私は毎週日曜日にひとりでルーヴル美術館に通い、主にギリシャ、エジプト、古代オリエントの古代美術を見ていました。今でも私にとってはこれがルーヴルでいちばん素晴らしい部分で、人を案内するときも真っ先に見せる場所です。もちろん《モナ・リザ》も見たくなるでしょうが、その前の人だかりは覚悟しておいてください。

晴れた日のナポレオン広場に建つルーヴル美術館のガラスのピラミッド、パリ
ナポレオン広場のピラミッド

中に入らなくても、ピラミッドのまわりはぜひ歩いてみてください。私が子どもの頃、ナポレオン広場は屋外の駐車場でした。1989年にオープンしたピラミッドは、今もパリで最も美しい眺めのひとつです。

知っておきたいこと: 2026年1月から、チケットは欧州経済領域(EEA)からの来館者が22ユーロ、それ以外の人は32ユーロです。オンラインでの時間指定予約を強くおすすめします(必須の場合もあります)。火曜日は休館で、水曜日と金曜日は21時まで開いており、この夜間開館が訪れるのに最適な時間帯です。

ルーヴル美術館のモナ・リザの前でセルフィーを撮るBlaise Jaeger
《モナ・リザ》:必見ですが、私にとってルーヴルいちばんの見どころではありません

オルセー美術館

印象派とゴッホがあるだけで、オルセー美術館の常設コレクションは必見です。テーマ別の企画展も優れたものが多くあります。建物そのものも美しく、1900年のパリ万博のために建てられた元駅舎で、大きな中央ホールと巨大な時計が印象的です。

上から見たオルセー美術館の中央ホール。かつては駅舎でした
かつての駅舎、オルセー美術館の中央ホール

オルセー美術館とオランジュリー美術館、どちらに行くべき?オランジュリー美術館もモネの《睡蓮》や企画展のために訪れる価値はありますが、規模はずっと小さめです。どちらかを選ぶなら、一瞬も迷わずオルセーです。オルセーは月曜日が休館で、木曜日は夜遅くまで開いています。

ピカソ美術館

マレ地区のオテル・サレ(Hôtel Salé)にあるピカソ美術館は、世界最大となる素晴らしいピカソ・コレクションを所蔵しています。私は特に「青の時代」が大好きです。17世紀の邸宅そのものも見ごたえがあり、壮麗な階段や屋根の梁の下の展示室を楽しめます。月曜日は休館です。

パリ、ピカソ美術館の木の屋根梁の下に置かれた彫刻
ピカソ=ジャコメッティ展が開かれていた、ピカソ美術館の屋根裏の展示室

ポンピドゥー・センター(再開後に)

私はポンピドゥー・センターが建てられていく様子を見ていましたし、開館したときにはその巨大な公共図書館に夢中になりました。近代美術のコレクションは世界有数です。建物は2025年9月から改修工事のため閉館しており、2030年に再開する予定です。それまではコレクションが各地を巡回しているので、ほかの会場で開かれるポンピドゥーの展覧会を探してみてください。たとえばグラン・パレでは、2027年1月17日まで「Cézanne et nous(セザンヌと私たち)」が開催されています。

改修のため閉館する前の、カラフルなパイプが走るポンピドゥー・センターのメインホール
閉館の数か月前、2025年3月のポンピドゥー・センターのホール

パリの三大美術館とは?一般的には、ルーヴル美術館、オルセー美術館、ポンピドゥー・センターを指します。古代美術、19世紀美術、近代美術という分担です。ポンピドゥーが閉館している間は、私ならピカソ美術館を代わりに挙げます。

企画展を見に行く場所

パリの人々は、コレクションと同じくらい企画展を目当てに美術館へ足を運びます。ここで紹介するのは、私が特に注目している場所です。

グラン・パレ

グラン・パレのガラス屋根は魔法のようで、どのアートフェアにとっても格別の舞台です。企画展の質も高く、建物は長い改修を経て2025年6月に全面再開しました。私は「Pass GrandPalais+ Solo」(1年間で75ユーロ)を持っています。年に何度も行くので、元が取れるとまではいかなくても、列に並ばずに入れるのはとてもありがたいです。

ダニエル・ビュレンのインスタレーションで色づいたグラン・パレのガラスドーム、パリ
2012年5月、ダニエル・ビュレンによって色づけられたグラン・パレのドーム

プティ・パレ

プティ・パレはグラン・パレのちょうど向かいにあります。時間があればぜひ入ってみてください。常設コレクションは無料で、庭園のある中庭はこのあたりで最も静かな場所のひとつです。

パリ、プティ・パレの中庭の庭園に立つ金色の像
プティ・パレの中庭の庭園

パレ・ド・トーキョーとパリ市立近代美術館

パレ・ド・トーキョーと、そのすぐ隣にあるパリ市立近代美術館は、とても先鋭的です。2018年にパリ市立近代美術館で開かれたザオ・ウーキー展のような大規模な回顧展のときには、ぜひ訪れてください。それ以外は現代アートに精通した愛好家向けで、私も展示されているものすべてが好きなわけではありません。パレ・ド・トーキョーには常設コレクションがなく、木曜日は深夜0時まで開いています。

ヨーロッパ写真美術館

マレ地区にあるヨーロッパ写真美術館(MEP)は、写真好きなら必見です。企画展はたいていとてもよく構成されています。月曜日と火曜日は休館です。

ヨーロッパ写真美術館に展示された、銀行の金庫扉を写したリュウ・ボーリンの写真作品
ヨーロッパ写真美術館で展示されたリュウ・ボーリンの作品

私設財団の美術館

この15年で、私設財団がパリのアートシーンを変えました。市内で最も見ごたえのある展覧会が開かれるのは、こうした財団であることが少なくありません。

カルティエ現代美術財団

ラスパイユ大通りのガラス張りの建物にあった頃のカルティエ現代美術財団も好きでしたが、今はさらに良くなりました。2025年10月からはルーヴル美術館の向かい、パレ・ロワイヤル広場2番地に移り、ジャン・ヌーヴェルが可動式の床を備えて改装した19世紀の建物に入っています。月曜日は休館です。

パレ・ロワイヤルに移転した新しいカルティエ現代美術財団の館内に並ぶ木の幹の彫刻、パリ
2025年11月、パレ・ロワイヤルの新しいカルティエ現代美術財団

フォンダシオン ルイ・ヴィトン

フォンダシオン ルイ・ヴィトンは、ブローニュの森のアクリマタシオン庭園の隣という美しい環境にあります。フランク・ゲーリーの建築は少し冷たく感じますが、展覧会は息をのむほど素晴らしく、バスキア、ウォーホル、マティスといった巨匠の作品が並びます。見逃さないでください。火曜日は休館で、金曜日は夜遅くまで開いています。

ブローニュの森に建つ、フランク・ゲーリー設計のフォンダシオン ルイ・ヴィトンのガラスの帆、パリ
ブローニュの森のフォンダシオン ルイ・ヴィトン

ブルス・ドゥ・コメルス – ピノー・コレクション

ブルス・ドゥ・コメルスの改修は大成功で、天井画の描かれた大きなドームの下に安藤忠雄のコンクリートの壁が立ち上がります。展覧会はかなり先鋭的なことが多いので、建物そのものを目当てに訪れてください。私の住むモントルグイユ地区から歩いて5分で、毎月第1土曜日の夜は入場無料です。

パリ、ピノー・コレクションのブルス・ドゥ・コメルス、天井画のドームの下に広がるロトンド
安藤忠雄によるコンクリートの円筒の内側から見た、ブルス・ドゥ・コメルスのロトンド

セガン島の新しいアートセンター「Large」

Largeは2026年10月17日、かつてルノーの工場があったブローニュ=ビヤンクールのセガン島にオープンしました。カタルーニャの建築家集団RCRアルキテクタス(RCR Arquitectes)が設計し、面積は約5,000m²、その半分が展示スペースです。アトリウムとテラスは無料。オープニング展「Moteur imaginaire(想像のエンジン)」は2027年3月7日まで開催され、料金は15ユーロ(26歳未満は無料)です。トラムT2でBrimborion駅、またはメトロ9号線でPont de Sèvres駅へ。

私が愛する小さな美術館

カルナヴァレ美術館

カルナヴァレ美術館は、マレ地区にある2つの邸宅で、先史時代から現代までのパリの歴史を紹介しています。とても興味深く、常設コレクションは無料です。月曜日は休館です。

パリ、カルナヴァレ美術館にあるシャンデリアの下がる白と金の時代様式のサロン
カルナヴァレ美術館の時代様式のサロン

ジャックマール・アンドレ美術館

オスマン大通りに建つ19世紀の邸宅、ジャックマール・アンドレ美術館では、とても興味深い企画展がよく開かれます。改修を経て2024年9月に再開し、企画展の期間中は金曜日に夜遅くまで開いています。

ジャックマール・アンドレ美術館のコプロウィッツ・コレクション展に展示されたキュビスムの絵画
2017年、ジャックマール・アンドレ美術館のコプロウィッツ・コレクション展の絵画

装飾芸術美術館

ルーヴル宮の一翼にある装飾芸術美術館に行く回数はそれほど多くありません。それでも忘れられない展覧会があり、2013年のジャン・デュビュッフェ「Coucou Bazar(クク・バザール)」は必見でした。

装飾芸術美術館で、ジャン・デュビュッフェのクク・バザールの衣装に囲まれるBlaise Jaeger
2013年、デュビュッフェ「Coucou Bazar」の衣装に囲まれて

パリの現代アート:お気に入りのギャラリー

ギャラリーは入場無料で、何かを買う必要もありません。アーティストが今何をしているかを知るには最適な場所です。ほとんどが火曜日から土曜日まで開いていて、優れたギャラリーの多くはマレ地区にあります。

Perrotin(ペロタン)

私がエマニュエル・ペロタンと出会ったのは1997年、彼のギャラリーがまだボーブール通りにあった頃です。彼が扱っていた数少ないアーティストのうち、結局大きく花開くことのなかった一人の作品を、彼から買いました。その後ペロタンは世界中にギャラリーを開きました。パリのメインスペースは、テュレンヌ通りの18世紀の邸宅にあります。

Polka

マレ地区サン・ジル通りの中庭にあるPolka Galerieは、私が敬愛する写真家を数多く扱っています。写真好きの方には、MEPと並んでこのギャラリーをおすすめしています。

Jeanne Bucher Jaeger:私の家族のギャラリー

ここは私にとって特別な場所です。Galerie Jeanne Bucher Jaegerは、1925年に私の曽祖父母の姉妹であるジャンヌ・ビュシェがセーヌ左岸で創設したギャラリーで、彼女はここでヴィエイラ・ダ・シルヴァをはじめ多くの偉大な近代芸術家を紹介しました。1947年からはおじのジャン=フランソワ・ジャジェが運営してセーヌ通りに移転し、現在はいとこのヴェロニク・ジャジェが運営しています。ギャラリーは今では右岸、マレ地区のサントンジュ通り5番地にあり、リスボンにもあります。2025年には創立100周年を迎えました。オープニングは、アートに詳しい人々と出会える機会です。

パリのGalerie Jeanne Bucher Jaegerの展覧会で展示されたダニ・カラヴァンの彫刻
Galerie Jeanne Bucher Jaegerでのダニ・カラヴァン展

Templon(タンプロン)

私は長い間ボーブール通りに住んでいて、Templonギャラリーの真上だったので、もちろん足しげく通いました。バリ島とパリを行き来するようになった今は、行く回数が減りました。Templonはピエール&ジルのような優れたアーティストを紹介しています。

2016年、ルーヴル美術館のピラミッドの前でアーティストのJRとセルフィーを撮るBlaise Jaeger
2016年、ピラミッドのインスタレーション中にルーヴル美術館の前でアーティストのJRと

パリのアートフェア

3つの大きなアートフェアは、どれもグラン・パレのガラス屋根の下で開かれます。何も買わなくても、新しいアーティストを発見したり、ギャラリーとのつながりを保ったりするために行けますが、手の届く価格の作品もあります。何年もの間、私はフェアに行けばほとんど必ず何か買っていましたが、今は飾る壁がなくなったので控えています。

  • Art Basel Paris(10月):最大規模のフェアで、世界の主要ギャラリーが集まります。私が長年通ったFIACに代わって開催されています。
  • Paris Photo(11月):世界をリードする写真フェアです。2026年は11月12日から15日まで開催されます。
  • Art Paris(春):より親しみやすく、フランスやヨーロッパのギャラリーが多数参加します。次回は2027年4月1日から4日まで開催されます。
グラン・パレのガラス屋根の大ホールに並ぶ、アートフェアArt Parisのギャラリーブース
2025年4月、グラン・パレの大ホールで開かれたArt Paris
2015年、グラン・パレの外でParis Photoを訪れたBlaise Jaeger
2015年のParis Photoにて

パリの美術館めぐりの実用情報

  • 事前に予約する。パスがない場合は、特にルーヴル美術館、オルセー美術館、大型の企画展では、数日前に時間枠を予約しておきましょう。
  • 昼過ぎを避ける。団体ツアーやリタイアしたシニア層で最も混み合う時間帯です。開館直後か、夜間開館の時間に行きましょう。
  • 夜間開館:ルーヴル美術館は水曜日と金曜日、オルセー美術館は木曜日、フォンダシオン ルイ・ヴィトンとグラン・パレは金曜日、パレ・ド・トーキョーは木曜日の深夜0時まで。
  • 無料の美術館:パリ市立美術館の常設コレクションは無料で、カルナヴァレ美術館、プティ・パレ、パリ市立近代美術館、ヴィクトル・ユゴー記念館などが含まれます。ルーヴル美術館は毎月第1金曜日の夜に誰でも無料(7月と8月を除く)、オルセー美術館とオランジュリー美術館は第1日曜日に無料です(要予約)。
  • 26歳未満:欧州在住の26歳未満の人は、ほとんどの国立美術館に無料で入れます。18歳未満は国籍を問わず無料です。
  • パリ・ミュージアム・パス: 2日間85ユーロ、4日間105ユーロ、6日間125ユーロ。50か所以上の美術館やモニュメントの常設コレクションが対象ですが、企画展は含まれず、ルーヴル美術館では別途時間枠の予約が必要です。大きな美術館をいくつも続けて回る場合にだけ元が取れます。
  • Pass GrandPalais+:年に何度かグラン・パレの企画展に行くなら、列に並ばずに済むだけでも持つ価値があります。
  • 宿泊エリア:このガイドで紹介した美術館のほとんどは、中心部から歩いて行ける距離にあります。詳しくはパリのおすすめ宿泊エリアをご覧ください。

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パリの美術館に関するよくある質問

パリでいちばんの美術館はどこですか?

古代美術ならルーヴル美術館、印象派とゴッホならオルセー美術館です。1館しか時間がないなら、古代美術を目当てにルーヴルを、もっと短く気軽に見たいならオルセーを選びます。

オルセー美術館とオランジュリー美術館、どちらがおすすめですか?

迷わずオルセー美術館です。オランジュリー美術館もモネの《睡蓮》のために訪れる価値はありますが、ずっと小さな美術館です。

ポンピドゥー・センターは開いていますか?

いいえ。2025年9月に改修のため閉館し、2030年に再開する予定です。その間、コレクションの一部はグラン・パレなどほかの会場で展示されています。

パリで無料の美術館はどこですか?

パリ市立美術館の常設コレクションは無料で、カルナヴァレ美術館、プティ・パレ、パリ市立近代美術館などが含まれます。ギャラリーも無料です。

パリ・ミュージアム・パスは買う価値がありますか?

数日のうちに大きな美術館をいくつも回る場合だけです。企画展は含まれず、ルーヴル美術館では別途時間枠の予約が必要です。

パリのおすすめの穴場美術館は?

パリの歴史ならカルナヴァレ美術館、邸宅と企画展ならジャックマール・アンドレ美術館、そして装飾芸術美術館です。現代アートなら、マレ地区のギャラリーを無料で楽しめます。